HOME > 自律神経とはり灸
はり治療は、筋肉の緊張を和らげ血行を促進することで症状を改善していきます。
そこに隠された自律神経の働きという大事な要素についてご説明しましょう。
人間の神経は大きく分けて、自分の意志で動かすことのできる「体制神経」と、
自分では意識して動かすことのできない「自律神経」の2種類に分かれます。
自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」という反対の作用をする2種類の神経に分かれ、
一対になって身体の各器官をコントロールしています。
実はこの「交感神経」と「副交感神経」というふたつの自律神経の働きのバランスが
人間の健康のカギを握っているのです。
交感神経の作用は一言でいえば「緊張」、もうひとつの副交感神経の作用は「リラックス」です。
たとえば、夜10時頃になって自然とあくびが出てくるのは、それまで優位を保っていた交感神経が休息に入ろうとし、
副交感神経が優位に立って、疲れた筋肉や内臓をゆっくり休ませようとするからです。
睡眠中に機能回復や新陳代謝を行ない、夜明が近づくと、こんどは再び副交感神経に代わって
交感神経が優位に立とうとしてきます。これが健康な人の自律神経のサイクルなのです。
交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行かないと、寝付きが悪かったり、
眠りが浅くて途中で目が覚めたり、目覚めが悪かったりといった症状が出てきます。
さらにこれが悪循環のサイクルに陥ると次のような症状が現れます。
これが自律神経が失調した状態です。
自律神経失調の原因は、自律神経系をコントロールしている脳の部位と深い関係があります。
自律神経の中枢である「視床下部」は同時にホルモン分泌の中枢でもあり、
ホルモンバランスの変化による影響を受けやすくなっています。
特に女性の場合、更年期のホルモンバランスの変化から自律神経失調の症状を起こすことが多く、
これが更年期障害と呼ばれるものです。
さらに視床下部は、そのまわりにある大脳辺縁系の影響も非常に強く受けています。
大脳辺縁系というのは、本能や感情の中枢といわれていますから、
不安や心配事が多いと眠れなくなったりするわけです。
自律神経失調による症状は先にあげたとおり様々ですが、
決まって首や肩、背中や腰に強い緊張が現れてきます。
特に30歳を過ぎた頃から副交感神経の機能は衰えていくといわれています。
はり治療は、これらの緊張(=コリ)にはりをすることによって、副交感神経の機能を高め、
筋肉の緊張を和らげ、血行を促進して症状を改善する治療方法なのです。